せっかくバカラの名入れグラスをプレゼントしたのに、 ウィスキーやスコッチ・バーボンなど、
せっかく盛り上がってきた話題についていけない。
ウィスキーの話はよく分からない。
それではいただいた方もちょっと悲しいかも・・・ そんなお客様のためにウィスキーの基礎知識として、
この「ウィスキー編」を書き始めました。
バーボンの常識を覆した口コミバーボン「メーカーズマーク」の登場です。
このバーボンは全てが新しいとキャッチフレーズにつけたいぐらいに、
他のバーボンとメーカズマークは全て違います。
メーカズマークはそれまでのバーボンに飽き足らず、
あえて代々伝わるバーボンの製法を焼き捨て、 世界に通用するバーボンを目指し、全く新しいバーボンにチャレンジした、 ビル・サミュェルズ・シニアが作った新時代のバーボンです。
彼が最初に手を付けたのが伝統的なバーボンが使っているライ麦に変わる原料を探す事でした。
彼は何種類かのグレーン(穀物)を試すためにまずパンを大量に焼きました。 その味覚の違いで冬小麦に目を付けました。
そして次に探したのが蒸留所。彼の要求を満たす理想の場所は、 ハッピーハロー(スターヒルファーム)に廃屋同然の小さな蒸留所を見つけました。 その蒸留所の敷地内にはウィスキー造りには最適と言われる「鉄分を含まない天然水」 ライムストーン・ウォーターが湧き出ていました。
この「冬小麦」と「ライムストーン・ウォーター」で世界を驚かせるのです。
そして彼は拒んできたサミュエル家に伝わるウィスキー造りの精神をたった一つ残しました。 それは「最高の材料を使って人の手で作れる少量生産を守る」ということでした。 そしてもう一人このメーカズマークを成功に導いた人がいます。 サミュエルズ・シニアの妻マーシーの存在です。
ここまでくるとNHKの朝の連ドラ「マッサン」とダブってしまいます。
でも彼女はエリーとは違う視点でサミュエルズ・シニアを助けます。
それはまるで優れたデザイナーのようなバーボンの演出でした。
彼女は夫のこだわりを世界中の人が見て分かる様に独特なデザインを提案します。 それがコニャックのボトルをヒントにした赤い封蝋と、 メーカーズマーク「製造者の印」という、
夫のバーボンの自信と誇りを表現したネーミングでした。 メーカズマークは小さな蒸留所である事を逆手に取った手作りバーボンの、 芸術的な完成度と妻マーシーの独特のデザインとネーミングで世界を席巻しました。
小さな蒸留所には不可能と思えたマーケットの開拓を、
インターネットのない時代に、 ほとんど口コミで広げた奇跡のバーボンメーカなのです。